旭化成株式会社

製造現場の運転、保守の高度化を狙った遠隔支援と作業支援ソリューションを導入

繊維・ケミカル・エレクトロニクス事業からなる「マテリアル」、住宅・建材事業からなる「住宅」、医薬・医療・クリティカルケア事業からなる「ヘルスケア」という3つの領域で事業を展開する総合化学メーカー旭化成株式会社では、デジタル共創本部 スマートファクトリー推進センター(旧:生産技術本部 デジタルイノベーションセンター)が中心となり、2018年より製造現場における設備点検の高度化を狙い、スマートグラスの試用と遠隔支援、作業支援システムの実証実験を実施していた。様々なソリューションの調査を進めていたところ、2020年2月からコロナ禍になり、ある事業部案件で海外のお客様先での設備立ち上げのための海外渡航が出来なくなり、プロジェクト遅延のリスクに直面。しかし、2年前より様々な調査や実証実験を行っていたため、Realwear社のスマートグラスHMT-1と遠隔支援ソリューションについて、内部検証・使用決定から納品、海外のお客様による活用まで1か月程度で進めることができ、お客様のプラントの立ち上げに成功した。その後、該事業部では導入台数を増やし、数多くの案件において活用を進め、業務の一部として稼働している。

HMTを導入した背景

複数のスマートグラスを様々な視点で検討した結果、HMT-1が最も製造現場での使用に適していると判断。特に以下の特徴が採用に至った理由となった:

  • 防爆環境に対応した機種もあり、プラントでの使用実績が全世界で多数
  • 製造現場ではヘルメットの装着が必須であり、HMT-1はヘルメットに簡単に着用できる
  • ディスプレイを視界の邪魔にならない位置に調整できるため、安全に使用できる
  • IP-66レベルの防塵防水と落下しても壊れにくい耐衝撃設計による高い堅牢性
  • 音声で操作できるため、端末を操作しながら両手で作業が可能
  • 様々なソフトウェアに対応しており、高い拡張性を有する

遠隔支援での活用

HMT-1とウェブ会議ソフトを使い、現場と熟練者間で音声と映像、資料の共有が可能となり、国内外のお客様のプラントと装置の立ち上げ作業の遠隔サポートが可能になった。そこから更に様々な利用方法へと発展:

  • 旭化成の国内外のエンジニアリング現場の遠隔サポート
  • 旭化成が他社製の製造装置を導入する際の装置立ち上げから調整プロセスにおける、製造装置メーカーによる遠隔サポート
  • 本社による国内・海外工場のリモート監査業務
  • 広大なプラントでの製造業務における現場とパネル室間の高度な連携

これら遠隔支援により、お客様先に出向けない状況を打破し、遅延なくプロジェクトを推進することに成功。更に、専門家が現地に出張する必要がなくなり、専門家の稼働率が上がると同時に、出張費も削減。プラントの運転において経験の浅い作業者がパネル室にいるベテランエンジニアとリアルタイムで確認を取りながら作業が行えるようになり、安定した運転・生産に寄与。現場側での導入検討に際し、スマートファクトリー推進センターが評価キットを貸し出すと共に、マニュアルの整備や使い方のレクチャーを実施し、迅速に現場評価から本導入までをサポートしている。

作業支援での活用

HMT-1の画面上に一つ一つの作業手順を表示し、現場作業員は抜け漏れなく作業を進められ、自動的に作業報告書を作成する作業支援システムを内製。設備点検や製造装置の日常点検においてハンズフリーで指示に従い点検業務やトラブル時の対応を実現すべく、現場実証を行っている。
本運用に至ると、作業ミスの可能性を減らしてより安全な製造現場の運営を実現しつつ、若手現場作業者が安定した業務を実施できるようになり、更には作業報告書が自動的に作成されるため作業効率も向上。

今後の展望

2020年に始めた遠隔支援は2021年に入り社内普及期に入り、多くの現場作業者に活用されるようになった。今後は二人で実施している作業を一人で実施できるシステムを構築予定。例えば現場作業者と制御室に居る作業者2名で進めるような作業において、現場作業者がHMT-1を使って制御室内のデータを閲覧できるようにし、一人で作業を行える体制を目指す。
また、製造装置をカメラで映すとその装置の稼働状況データがHMT-1に表示されるようなAR/XR用途も検討していく予定。

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